研究課題
【目的】三黄瀉心湯(SST)による虚血再灌流(I/R)心機能障害改善作用の分子機序と有効成分の解明、ならびに耐糖能異常におよぼす影響について検討した。【方法】偽手術(sham)群を対照として、両側卵巣摘出(OVX)Wistar系雌性ラットに水またはSSTを1ヶ月投与した。薬物投与終了後に心臓を摘出し、I/R実験を行った。一部のラットは16時間絶食し、glucoseまたは二糖類を腹腔内投与し、投与120分後までの血糖値の変動を検討した。【結果】水を投与したOVX(OVX/水)群では、sham群に比してI/R中の灌流液中NOxレベルと、I/R後の心筋のsuperoxide産生、誘導型NOS(iNOS)発現、さらにNOとsuperoxideの反応物であるperoxynitrite産生の指標となる心筋タンパクのチロシンニトロ化が、有意に増加していた。一方、SSTを投与したOVX(OVX/SST)群では、これらの増加が、いずれも有意に減少していた。SSTの構成生薬の一成分であるemodinを投与したOVX群では、OVX/水群に比してI/Rによる心機能低下および心筋梗塞巣の増大の有意な改善が認められた。ShamおよびOVX群間で、空腹時血糖値に有意な差は認められなかった。腹腔内glucose負荷により、OVX/水群ではsham群に比して投与30分後に有意な血糖値の上昇が認められた。一方、OVX/SST群では、OVX/水群で認められた血糖値の上昇が有意に抑制された。同様に、二糖類のsucroseならびにmaltoseの腹腔内負荷試験を行ったところ、sucrose負荷による血糖値上昇は、OVX/水およびOVX/SST群間で差は認められなかった。一方、maltose負荷による血糖値上昇は、OVX/水群に比してOVX/SSTラットで投与30分後および60分後に有意な抑制が認められた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Circulation Journal
巻: 77 ページ: 1827-37
10.1253/circj.CJ-12-1434