研究課題/領域番号 |
22590664
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 杏林大学, 医学部, 講師 (00237984)
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キーワード | 認知症 / 周辺症状 / 脳血流量評価 / 近赤外線スペクトロスコピー / 脳表脳血流量 |
研究概要 |
【目的】 認知症高齢者の転倒傾向をSPECTでの脳血流量評価から、自覚的不安感の有無に基づくハンカチテストを考案して、小脳を基本血流量との比較で左右前頭葉の血流低下が転倒因子である可能性をしめしてきた。 今回我々は新たに障害物の回避行動に際して持続的な脳血流量変化に注目して、認知症疾患別の非中核とされる諸症状(不安・抑うつ・俳徊症・不眠・妄想など)の反応差違を検討することを目的とする。 【方法】 認知症登録者11名(男性6名平均年齢79.3±4.1歳 女性5名78.0±6.3歳)を対象として、アルツハイマー病6名とレビー小体型認知症3名とMCI(mild cognitive impairment)2名正常コントロールとして5名に対してfNIRSを実施し脳表脳血流量の分布変化の検討を行った。 タスクとしては障害物として高さ15cmの直方体(横:50cm縦25cm)の乗り越え行為と高さ1m直径20cmの円筒形の障害物を用いて幅30cm、40cmの各空間間隙を歩行ですり抜け行為を事前の行為開始前状態から連続的に前頭部と後頭葉での脳表脳血流量を測定した。 【結果】 全例16例に対してタスクを実施して全例支障なく実施可能であった。 レビー小体病においては障害物またぎ行為・すり抜け行為共に行為開始前に後頭葉外側部の脳表脳血流量が増加し 右)前頭部での脳血流量が低下している。アルツハイマー病では前頭葉の脳表脳血流量が各タスクにおいても変化なく 右)後頭葉での脳表脳血流量はレビー小体病と同様に低下した。MCI(mild cognitive impairment)では全タスクで前頭葉の脳表脳血流量は左右差なく一貫して増加し、各疾患において異なる脳表脳血流量変化を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に杏林大学病院もの忘れセンターを初診で受診し、病名のついた455名の認知症患者において、特に周辺症状の強いアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症につき課題解決型の検査を行うことで各周辺症状に特有な脳血流変化のパターンが収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
現段階で研究計画自体に大きな問題は無い。しかしながら、認知症患者で周辺症状を示すものは、安静が取れないケースも多く、この場合検査が全くできないか、できてもノイズの多いデータとなり解析に難渋することがある。また、患者の家族が研究への参加に同意しない場合もあり、この点も問題となることがある。 対応策としては、周辺症状の比較的軽度の患者を対象として増やすこと、患者の家族への説明に時間をかけることであろう。
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