研究課題/領域番号 |
22590666
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
新井 信 東海大学, 医学部, 准教授 (30222722)
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研究分担者 |
大島 吉輝 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00111302)
梶原 景正 東海大学, 医学部, 講師 (00204397)
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
日置 智津子 東海大学, 医学部, 講師 (50393195)
石井 直明 東海大学, 医学部, 教授 (60096196)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ダイオウ / マイクロアレイ / 線虫 / マウス / センノシド / 寿命延長 |
研究概要 |
1.線虫へのダイオウ投与による寿命延長効果の解析 ダイオウ混和培養液で寿命延長を認めた線虫を用いて、正常培養の線虫との間でみられる遺伝子発現変化をマイクロアレイ解析で検討し、培地にダイオウ投与で発現レベルが5倍以上変化した遺伝子を数多く単離した(ダイオウ関連遺伝子)。遺伝子発現解析をさらにすすめ、第二の対照群としてダイオウ投与しても寿命が延長しなかった線虫の遺伝子発現プロファイルを作製し、ダイオウ遺伝子から除外した。これにより寿命延長を示したダイオウ投与線虫でのみ発現変化する遺伝子群を同定できた。さらにこの遺伝子群からヒトホモログが存在するかを検討し、寿命関連が期待されるヒトダイオウ遺伝子とした。次に、これら遺伝子の発現動態をダイオウ投与したマウス個体で検討した。マウス投与期間と発現レベルの変化を経時的にリアルタイムPCRおよびウエスタンブロットにて検討し、マウス組織でも2週間ダイオウ投与で遺伝子発現・タンパク質発現を示す候補遺伝子を同定できた。ダイオウ投与と発現量の関係を経時的に検討中である。 2.減センノシドダイオウの調製 ダイオウに含有されるセンノシドは下痢症状を惹起し、動物実験を行う上での支障になる。そこで我々は昨年度、ダイオウ末を加熱処理することにより、ダイオウに含有される他の主要成分をほとんど保持したままセンノシドのみを減じたダイオウ(減センノシドダイオウ)を調製する方法を開発した。本年度は調製のための至適条件(121℃、20min、加湿条件)を決定し、マウスへの投与実験を行ってその効果を検証した。 3.ダイオウ投与マウスの生体変化の検討 ダイオウ投与したマウス個体で、ヒトダイオウ遺伝子の発現増強により発生する生体変化を様々な組織で検討し、腎臓・尿などに注目する変化を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトホモログ遺伝子をもつダイオウ関連遺伝子を線虫より単離した。既にヒトでのダイオウの薬効は確立されているので、おそらくダイオウ投与によりヒトホモログ遺伝子の発現が増強するという仮説に対して、マウス個体レベルでダイオウ投与の効果を検討し、マウス個体にてダイオウ関連マウスホモログ遺伝子の発現増強が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
マウス個体を用いたダイオウ投与による生体変化を、今後は臨床応用を踏まえ、前臨床的にマウス個体でのダイオウ投与によるダイオウ関連遺伝子の発現領域と一致した生体変化について検討する。 (1) 腎臓での発現変化を示す遺伝子に注目し、マウス尿をサンプルとしてダイオウ関連生化学的物質解析を行なう。 (2) 肝臓での発現変化に注目し、血液サンプルからダイオウ関連物質を同定する。 (3) マウス腸内細菌を抗生剤や腸内細菌経口投与などで調節し、ダイオウ投与による関連遺伝子の変化を検討する。
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