研究課題/領域番号 |
22590669
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
元雄 良治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80210095)
|
研究分担者 |
済木 育夫 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (80133776)
高野 文英 金沢大学, 医薬保健研究域薬学系, 准教授 (20236251)
牧野 利明 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80326561)
|
キーワード | 大腸癌 / オキサリプラチン / 末梢神経障害 / 人参栄養湯 / 漢方 |
研究概要 |
本研究は、大腸癌の標準的治療薬であるオキサリプラチン(以下L-OHP)の重要な副作用である末梢神経障害に対して、漢方製剤人参養栄湯(にんじんようえいとう、以下NYT)の有効性を基礎的・臨床的に解析し、標準的治療完遂のための支持療法としての漢方の意義を明らかにするものである。平成23年度は、in vitroにおいて神経培養細胞PC12の培地にNYTを添加し、遺伝子発現プロファイルを解析した。現在解析中であるが、L-OHP添加群・NYT添加群・L-OHP+NYT同時添加群・非添加群による比較が必要である。NYTには神経細胞保護作用があるとされており、それに関与する遺伝子群が動くことが予想される。DRG細胞の神経突起進展促進作用が安定することを目標に現在実験中である。一方、in vivoでは有意差の出た実験に成功した。方法は、ddYマウス5週令オスに、L-OHP10mg/kgを腹腔内投与し(day O)、NYTをヒト5倍量で飲水投与開始。その後の足蹠における物理的刺激による痛覚過敏をvon Freyテストにより評価。その結果、5目目のみだが、P<0.05で有意な改善が認められた。1回目の実験で改善傾向が認められ、今回初めて有意差が取れたが、今後回数を重ねればこれで結果として出せる見込みが立った。来年度は、冷痛覚過敏のテストしていく予定である。臨床的には20例においてパイロット研究を行い、単アームであるが、NYTをL-OHP投与開始と同時に投与し、末梢神経障害の出現までの期間・出現した場合のピーク時の程度などを現在解析中である。NYT併用にてL-OHPを累積投与量850mg/m^2を越えて投与しても全く末梢神経障害をきたさない例が存在した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現プロファイルを解析中である。 動物実験モデルで有意差が出た。 臨床的に20例以上の投与ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞レベルの研究ではL-OHPとNYTの投与時期の違いによる変化を解析する。 動物実験では冷痛覚過敏性とNYTの効果を解析する。 臨床的にはパイロット研究の解析結果を参考に無作為化比較試験(RCT)を実施する。
|