研究課題/領域番号 |
22590675
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大川原 辰也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (00374257)
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キーワード | マクロファージ遊走阻止因子 / 逆流性食道炎 / 好酸球性食道炎 |
研究概要 |
本研究では食道疾患、特に食道の炎症においてマクロファージ遊走阻止因子の発現やその役割について解明することを目的としているが、そのために、まず動物実験モデルを用いた検証を試みた。まず、逆流性食道炎に関与する胃酸分泌についてマウス胃における基礎分泌量とベタネコールによる刺激による酸分泌量の変化について解析したところマクロファージ遊走阻止因子(MIF)ノックアウトマウスと野生型マウスではいずれの条件でも胃酸分泌量に差は見られなかった。したがって逆流性食道炎の発症メカニズムについてはMIFの関与は酸分泌の加減によるものではなく免疫細胞、上皮細胞での働きなどの要因が示唆された。食道炎について好酸球性食道炎もあり原因解明が試みられているがこれらに関するMIFの関与を検討するためマウス好酸球食道炎モデルとしてアスペルギルス抗原を投与し発症させるモデルを作成した。抗原未投与マウスと比ベアスペルギルス抗原投与マウスは好酸球が粘膜層に浸潤している数量が増加していたが粘膜上皮の破壊などは見られないものであったため、この食道炎の評価は組織学的所見の評価だけでなく好酸球を含めた免疫細胞の浸潤や炎症マーカー(サイトカインなど)の解析も必要であると考えられる。また好酸球性食道炎マウスの食道組織をMIF免疫染色を施行し食道粘膜内の免疫細胞に発現が認められ、アスペルギルス抗原未投与マウスの食道組織と比べるとその発現の数量が高い傾向がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス好酸性食道炎モデルにおいて食道の炎症所見がばらつくためアスペルギルス抗原の投与のタイミングや投与量についての調整が難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
アスペルギルス抗原投与による食道炎の調整以外にもオバルブミン投与による好酸性食道炎モデルでの検証などを進めていく予定である。さらにMIF活性阻害剤(ISO-1,抗MIF抗体、MIFDNAワクチン)を投与しその活性の抑制による炎症の変化を検証していく予定である。
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