研究課題
消化器癌の化学療法にともなう食欲不振は大きな問題の一つであるが、有効な治療法は確立していない。申請者はシスプラチン投与にともなう食欲不振に対して、六君子湯およびその成分が血中アシルグレリンを増加させ、食欲不振を改善することを報告してきた。しかしながら、血中アシルグレリン/デスアシルグレリン比が上昇する機序は不明のままであった。本研究は、六君子湯およびその成分がアシル基転移酵素(GOAT)の活性を修飾する可能性を検証することを目的とする。本年度は、候補となるトランスポーター遺伝子のオクタン酸輸送能を評価するために、アシル化グレリン産生細胞系の構築を行った。グレリンおよびGOATのcDNAを、IRES配列を有する哺乳動物用発現ベクターに挿入し、pIRES-Ghr/GOATを構築した。次に、ヒト胎児腎臓293細胞にpIRES-Ghr/GOATをトランスフェクションし、培地中にn-オクタン酸を添加して24時間培養した。RT-PCR法による解析の結果から、pIRES-Ghr/GOATの導入により293細胞においてグレリンおよびGOATの mRNA発現が特異的に検出された。また、ELISA法による解析の結果から、pIRES-Ghr/GOATを導入した293細胞において、アシル化グレリンが産生されていることが確認された。さらに、培地中に添加するn-オクタン酸の濃度依存的にアシル化グレリンの産生量の増加が観察された。最後に、グレリンおよびGOATを安定に発現する細胞(293-Ghr/GOAT細胞)の樹立を行った。293細胞にpIRES-Ghr/GOATをトランスフェクションした後、培地中にG418を添加し、耐性細胞のクローンを複数単離した。さらに、ELISA法による解析の結果から、単離した細胞のクローンがアシル化グレリンを産生していることが確認された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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