研究概要 |
RASAL1はRASの活性を負に制御するRASGAPであり、当科ではその発現低下によりRASが活性化された大腸癌、胃癌がかなりの頻度で存在することを示した。本研究ではRASAL1の消化器癌発生進展への関与のメカニズムを明らかにするため、RASAL1の組織特異的ノックアウトマウスを作製し、その表現型を解析することとした。まず、マウスRasal1のRasGAPドメインをコードするエクソン11から13までを条件的にノックアウトするマウス(Rasall flox)の樹立に成功した。現在Rasall floxマウスを全身でCreを発現するCAG-Creマウス、大腸特異的、膵特異的CreマウスであるCdx2-Cre,Ptfla-Creマウスと交配することにより、各組織特異的Rasal1ノックアウトマウスの作製を進めている。まだpreliminaryであるが全身でのRasal1ホモノックアウトが得られている。Cdx2-Cre;Rasal1^<flox/flox>マウスも得られており、今後表現型の解析を進める。また、Rasal1単独のノックアウトでは明らかな表現型が現れない場合でも、他の遺伝子改変マウスの表現型をRasal1ノックアウトが増強あるいは減弱させることも考えられるため、腸管にポリープを生じるAPCノックアウトマウスとの交配もすでに開始している。今後上記のマウスに加えて、b-catenin活性化型変異を条件的に発現するマウス(b-catenin(exon3)flox)やTGFbII型受容体の条件的ノックアウトマウス(TGFbR2flox)とも交配を進める予定である。
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