研究概要 |
食道炎、バレット食道、食道腺癌における食道下部細菌叢の特徴からこれらの疾患発生に関与している微生物を推定し、増加しつつあるバレット食道、食道腺癌の発生予防策を考案することを目的としている。胃食道逆流症状のある患者と逆流症状のない患者群に対して、上部消化管内視鏡検査と内視鏡下生検組織の採取を施行した。上部消化管内視鏡検査では、食道炎、バレット食道の有無ならびに程度をそれぞれロサンゼルス分類とプラハ基準を用いて判定している。生検組織からDNAを抽出し、16SrRNA遺伝子をPCR法にて増幅して、塩基配列の解析を行っでいる。塩基配列の解析および、塩基配列からの細菌の同定も順調に行われている。また、平行して病理組織学的な炎症程度の検討と、生検検体の組織培養を行っており、十分な検体数の得られたところで、培養上清中の炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IL-6,IL-8)をELISA法にて測定する予定である。その後、食道下部における炎症の指標(肉眼的、組織学的、組織中炎症性サイトカイン)それぞれと、デンドログラムから得られるクラスターを比較検討して、炎症の発生とその程度に関与している食道下部細菌叢の特徴を明らかにする予定である。今後とも、患者数の少ないバレット食道、食道腺癌患者を中心に症例登録を続けていく予定である。
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