研究課題/領域番号 |
22590680
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 貴文 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80378041)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10215501)
大宮 直木 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00335035)
渡辺 修 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80378059)
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キーワード | 食道炎 / バレット食道 / 食道腺癌 / 細菌叢 |
研究概要 |
食道炎、バレット食道、食道腺癌における食道下部細菌叢の特徴からこれらの疾患発生に関与している微生物を推定し、増加しつつあるバレット食道、食道腺癌の発生予防策を考案することを目的とした研究である。名古屋大学医学部附属病院おける上部消化管内視鏡検査の被検者で、胃食道逆流症状のある患者と逆流症状のない患者群を対象として、十分なインフォームドコンセントのもとに上部消化管内視鏡検査と内視鏡下生検組織の採取を施行した。内視鏡所見および病理組織学的所見から食道炎、バレット食道について判定した。食道下部内視鏡下生検検体よりDNAを抽出して16Sリボゾーム(r)RNAを指標とした消化管細菌叢の解析を行った。この研究の期間中、食道腺癌症例はなかった。患者は正常6名、食道炎6名、バレット食道6名がこの研究の対象となった。それぞれの患者から約140コロニーずつの菌体について検討した。分離菌は全体で主に6つの門に分類できた。正常、食道炎、バレット食道それぞれに門のレベルでも、また、菌種においても食道下部細菌叢に特徴のあることが認識された。生検検体の組織培養を行っており、培養上清中の炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IL-6,IL-8)をELISA法にて測定する予定である。その後、食道下部における炎症の指標(肉眼的、組織学的、組織中炎症性サイトカイン)それぞれと、食道下部細菌叢を比較検討して、炎症の発生とその程度に関与している食道下部細菌叢の特徴を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食道下部内視鏡下生検検体からのDNA抽出、その解析が分子生物学的方法を用いて可能であり、培養法によらない細菌叢の解析ができた。食道腺癌症例がなく、その解析ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
可能であれば、食道腺癌症例も検討したい。シークエンスを得るまでにかなりの費用がかかってしまうため、現在、入手したデータをさらに詳しく解析したい。病理組織学的検討から炎症の程度について、さらに詳細な検討を加えたい。
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