研究概要 |
Th-17細胞の誘導には樹状細胞から分泌されるIL-23が必要と考えられている。これは、炎症性腸疾患のなかでもクローン病患者のgenome-wide association studyからIL-23RをはじめとするIL-23/IL-17 axisに関連する遺伝子多型が明らかとなっていることからも裏付けられる。以上の知見より、樹状細胞特異的にIL-23の発現を制御できれば効率的に炎症性腸疾患の制御が可能と考えている。 Dectin-1はβ-1,3-D-glucanの受容体であり、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に発現していることが分かっている。また、我々はIL-23に対するアンチセンスの遺伝子デリバリーとして着目しているのがSchizophyllan(SPG)である。SPGは三重らせん構造を有するβ-1,3-D-glucanであり、その三本鎖のうち一本にDNA塩基配列を組み込むことが可能である。 本年度ではIL-10ノックアウトマウスを用い、アンチセンスIL-23とSPGの複合体を3ヶ月間投与した。0.01mg/kgのアンチセンスIL-23/SPG複合体を週に2回投与することにより、体重変化率がコントロール群89.5%であったのに対し、アンチセンスIL-23/SPG複合体投与群は105.5%(p<0.01)であった。また、Disease activity indexや腸管質重量比においても腸炎の改善を認めた。現在並行して行っている、基礎的検討と併せて論文投稿の予定である。
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