研究概要 |
我々は樹状細胞などに発現するDectin-1依存性にSchizophyllan(SPG)というβ-1,3-D-gulcanを担体としDNA塩基配列を細胞内に導入し炎症性腸疾患の新しい治療薬を開発することを目的とした。 前述した目的を達成するために平成23年度はDectin-1陽性細胞に発現したIL-23をターゲットとし、IL-12p19に対するアンチセンスを設計、SPGと会合させ複合体を作製。アンチセンスIL-12p19/SPG複合体をCD45RBhigh移入モデルへ投与し、腸炎に対する抑制効果を検討した。アンチセンスIL-12p19/SPG複合体の容量設定目的としたpilot studyの結果、0.01mg/kgの投与にて最も良い結果が得られたため、0.01mg/kgを週に2回投与するスケジュールでCD45RBhigh移入モデルにおける投与を開始した。約3ヶ月間に渡り、アンチセンスIL-12p19/SPG複合体を投与したが、対照群と比較し、有意に体重減少を抑制しなかった。また、腸管湿重量・長さ比も同様の結果であった。 平成24年度はNF-κBをターゲットとし、新たにNF-κB decoyを設計。急性モデルであるDSS腸炎モデルを作成した。5日間2.5% DSSを自由飲水させ、その後蒸留水に変更し14日目に屠殺している。コントロール群、DSS単独投与群、DSS+NF-κB decoy投与群、DSS+NF-κB decoy/SPG複合体投与群の4群について検討を加えた。NF-κB decoyは0.01mg/kgの容量で投与した。NF-κB decoy/SPG複合体投与群において、優位に体重減少が抑制されたため、容量設定目的に同様の実験を繰り返したが、NF-κB decoy/SPG複合体の腸炎抑制を示す結果は得られなかった。
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