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2011 年度 実績報告書

血清中マイクロRNAを用いた炎症性腸疾患に対する治療効果予測法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22590707
研究機関九州歯科大学

研究代表者

中道 郁夫  九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60419570)

研究分担者 松本 主之  九州大学, 大学病院, 講師 (10278955)
高田 豊  九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40163208)
キーワード炎症性腸疾患 / microRNA / 血清診断 / 核酸創薬 / トランスレーショナル
研究概要

マイクロRNAはタンパクに翻訳されない小分子RNAであるが、近年ではメッセンジャーRNAの翻訳抑制や分解に重要な役割を果たし、発現制御の一端を担っている事が分かってきた。また、一般的には不安定で分解が早いとされるRNAであるが、マイクロRNAの一部は血清中でも安定的に存在する事が示唆されている。そこで我々は、難病である炎症性腸疾患の患者血清よりマイクロRNAを測定し、新たなバイオマーカーとする血清診断法の確立を目指している。
クローン病(炎症性腸疾患)の確定診断を受けて、現在主流となっている抗TNF抗体製剤(インフリキシマブ)を使用する患者を対象とした予備実験を行った。典型的な3例の治療前と治療後の血清よりRNAを抽出し、PCRベースのマイクロアレイを用いて測定し、著明に変化をした候補マイクロRNA(14個)を選定した。次に16例のクローン病患者の血清にて、リアルタイムPCRでコホート研究を行い4個のマイクロRNAが治療後に有意に増加している事が明らかとなった。これらは治療が奏功した症例において治療後に著明な増加を示しており、治療前には症例間の差が認められなかった。
我々が選別した4個のマイクロRNAは治療効果と相関したものであり、治療効果の新たなマーカーや核酸創薬の対象となりえるものとして検討を継続している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では血清からのマイクロRNA測定法の確立は困難と思われたが、リソースの集中的な投入により信頼に値する測定結果が得られるようになった。その結果、将来の核酸創薬につながる可能性のあるマイクロRNAを複数取得する事が出来た。一方で、これらのマイクロRNAの分子生物学的な機能解析は予備実験を行うにとどまっている。

今後の研究の推進方策

昨年度に取得したマイクロRNAが臨床応用(トランスレーショナル)できる事を確認するために、さらに多数例での検証を継続する事や類似疾患(潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、虚血性腸炎など)の検体を用いて特異性を検証する必要がある。さらに今後の核酸創薬の可能性を模索するためにも、取得したマイクロRNAが制御する標的遺伝子の探索を行う予定である。標的遺伝子の探索にはバイオインフォマティクスによる探索を開始しており、培養細胞へのマイクロRNA導入で検証開始している。

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公開日: 2013-06-26  

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