研究課題/領域番号 |
22590708
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松岡 克善 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40307393)
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キーワード | クローン病 / 好中球 / 殺菌能 / CARD15 |
研究概要 |
腸管の慢性炎症性疾患であるクローン病の原因は未だ解明されていない。一方で、好中球NADPH oxidaseの先天性機能異常のために、好中球による殺菌機能が障害される慢性肉芽腫症において、クローン病類似の消化管病変を発症することが知られている。このことは、好中球殺菌能の異常により、クローン病に類似した病態が発症し得ることを示している。そこで、好中球による腸内細菌叢に対する殺菌能の異常がクローン病の病態形成に関与している可能性が考え、クローン病患者における好中球の殺菌能を系統的に調べ、好中球機能異常のクローン病の病態への関与を明らかにすることを目的として検討を行った。 腸粘膜内の好中球における好中球活性化マーカーCD69の発現をflowcytometryにて検討したところ、ほとんどの好中球でCD69の発現を認めた。次に、クローン病の疾患感受性遺伝子であり、単球系細胞における細胞質内の細菌センサー分子であるCARD15(NOD2)の発現をRT-PCR法にて検討し、好中球にもCARD15が高レベルに発現していることを確認した。この好中球におけるCARD15の機能を調べるために、好中球殺菌能の新しい機序として注目されている抗菌ネット(Neutrophil Extracellular Trap;NET)に注目した。しかし、単離した末梢血好中球をCARD15のligandであるmuramyl-dipeptide(MDP)で刺激したが、NETの誘導は認めなかった。次にクローン病の末梢血好中球を単離し、死菌で刺激した時のサイトカイン産生を検討したところ、クローン病患者の好中球ではIL-6,TNFの産生が健常人と比較して低下していた。また、クローン病患者の好中球は死菌刺激によるアポトーシスが亢進していた。 以上より、クローン病では好中球機能が異常になっている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
末梢血から好中球を活性化させずに単離する方法の開発に、想定外に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、好中球を活性化させずに単離する方法の開発に時間を要したが、現在プロトコールは確立した。また、好中球機能として、サイトカイン産生・活性酸素産生・Phagocytosis・抗菌ペプチド産生を測定する系も確立しており、今後サンプル数を増やして検討していく予定である。
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