研究概要 |
生体内におけるヒスチジン欠乏状態は、透析を必要とするような糖尿病腎症などの病態を悪化させるのみならず、褥瘡などの創傷治癒の遅延や、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)起因性消化管粘膜傷害の原因ともなりうる。本研究は,粘膜上皮修復機序におけるヒスチジンの機能性を明らかにすることを目的としている。ラット小腸上皮細胞による円形上皮欠損モデルを用いて、各種アミノ酸を個別で欠落させた培養液を用い、修復速度の違いを検討したところ、ヒスチジンが欠乏した状態において、小腸粘膜上皮の修復過程に著しい障害をきたすことを見いだした。以上のことは、粘膜上皮修復機序において、必須アミノ酸であるヒスチジンが重要な役割をしていることを示しており、病的状態におけるヒスチジン欠乏が、消化管粘膜障害を増悪させる可能性を示唆している。
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