研究課題/領域番号 |
22590715
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
金井 文彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70334399)
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研究分担者 |
多田 素久 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00554239)
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キーワード | 肝細胞癌 / オリゴヌクレオチドアレイ |
研究概要 |
これまでの研究で高密度オリゴヌクレオチドアレイを用いた肝細胞癌の遣伝子量的異常の網羅的解析より、われわれはHippoシグナルの異常が肝細胞癌の発生・進展に深く関与している可能性を見出していたた目そのシグナル構成因子につき検討を行うこととした。Hippo pathwayは近年注目されているシグナル経路であり、その機能不全により細胞増殖を促進し、細胞死を抑制し、細胞数の増加を招き、器官サイズが増大する。すなわち癌抑剃シグナル伝達系と考えられている。今回の検討ではHippoシグナル構成因子の一つ、Salvador homolog 1(SAV1)遺伝子に着目した。SAV1が含まれる14qのLoss of heterozygosity(LOH)を13種類中6種類の肝癌細胞株で認めた。さらに、うち1つの細胞株ではホモ欠失となっていた。ホモ欠失を呈している細胞株以外の12種類の細胞株のDNAを用いて遺伝子変異解析を行ったところ、1種類の細胞株でnonsense変異を認めた。さらに、患者同意を得て採取した肝細胞癌手術検体36例の癌部DNAを用いて遺伝子変異解析を行ったところ、2例でmissense変異を認めた。レポーターアッセイを用いた検討では、これらの遺伝子異常があるとSAV1遺伝子の活性が低下することが明らかとなった。以上の検討からHippoシグナルの機能不全が肝発癌、進展に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに得られているアレイの膨大なdataから前年度はヘッジホッグシグナルが、また、今年度はHippoシグナルが肝発癌、進展に関与することを明らかにしており、肝発癌、進展のメカニズムの解明と言う点では順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、アレイの結果から新たな標的を探索すると共に、前年度・今年度の研究から明らかとなったシグナル異常に関して、機能解析などより詳細な検討を行っていく。
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