研究課題
従来の私共の検討より、脂質メディエーターであるスフィンゴシン1リン酸が肝臓の様々な病態において深く関与していることが推定される。23年度に胆管結紮により作成した門脈圧亢進症ラットに受容体S1P2アンタゴニストを投与したところ、全身血圧には影響を及ぼさない濃度で門脈圧が低下することを見出した。一方、コントロールラットにおいては同濃度の受容体アンタゴニストは全身血圧、門脈圧を変化させなかった。すなわち、S1P2アンタゴニストは門脈圧亢進症ラットにおいてのみ、門脈圧選択的に圧低下作用を有することが明らかとなった。この機序にRho kinase活性低下作用が関与することも解明できた。24年度はS1P2アンタゴニスト作用の特異性を検討するためにS1P2遺伝子欠損マウスにおいてS1P2アンタゴニスト作用が認められないことを確認した。さらにS1P2アンタゴニストの一般肝機能に対する影響は認められないことを見出した。以上よりS1P2アンタゴニストが門脈圧亢進症治療に実際に応用可能である可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hepatology
巻: 56 ページ: 1427-1438
doi:10.1002/hep.25780