研究課題/領域番号 |
22590718
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近藤 祐嗣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00572231)
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研究分担者 |
吉田 晴彦 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60240305)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 肝癌 / AFP / microRNA122 / 癌幹細胞 |
研究概要 |
肝細胞内の全microRNAの80%以上を占めているmiR122は 肝細胞特異的に発現するmicroRNAであり、かつ肝癌でその発現が落ちているなどの背景から、肝細胞を正常な肝細胞として維持する機能を有している可能性が考えられる。本年度は昨年度に引き続き、 miR122の肝細胞分化に与える生理機能をin vitroでのmiR122過剰発現系・ノックダウン系とmiR122の機能的ノックアウトマウスによりin vivoで解明した。とくにmiR122の機能的ノックダウンによって胎児性抗原であるAFPの発現が著明に増加してくることが判明し、肝細胞の脱分化が起きていることが示唆された。そのうえで、その分子機構を解明した。すなわち、miR122の低下によってCUX1という標的転写因子の発現が増し、その結果、普段 AFPの発現抑制に働いている転写因子であるZBTB20の発現を低下させ、それによりAFPの発現が亢進していた。さらにCUX1は既報で癌細胞の悪性化に関わっていることが報告されており、それらのことから、miR122の発現低下が肝癌細胞の悪性度を増すとともにAFPの産生を増やしているうことが示唆された。この所見は臨床的にしばしば観察される AFP高発現の肝細胞癌の予後が悪いことを分子生物学的に説明したものであり今後の分子標的治療の応用が期待される所見である。 今年度は、メタボロームの手法を駆使して検討したところ、miR122の機能低下は細胞内のArginine濃度をCAT1というトランスポーターの発現を増やして増加させていることが示された。細胞内アルギニン濃度の増加が一酸化窒素の増加につながり、その結果癌の悪性度の更新につながっていることが示された。このことから肝癌におけるアルギニンの制限はひとつの補助療法になりうる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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