研究課題
本研究では肝発生過程での細胞分離技術を利用し、胎児肝臓から肝星細胞と類洞内皮細胞の前駆細胞をそれぞれ単離し、共培養によるin vitro分化誘導系を構築することで、分化に関わる細胞間相互作用に関する分子の探索を行なう。また、野生型またはOSMR KOマウスに各種肝障害誘導モデル(肝炎、肝線維化、脂肪肝)を施し、類洞内皮細胞・肝星細胞を中心に性状解析を行なうことを目的とする。まず、肝発生の解析では培養条件を検討した。10%FBSを用いた培養条件に比べ、2% B27 supplementにVEGFおよびbFGFを添加した培養条件では各細胞種のマーカー分子の発現維持および増強が認められた。障害肝の解析では、OSMR KOマウスに高脂肪食、コリン欠乏食を投与し、肝障害の程度を検討した。高脂肪食では、野生型マウスに比べKOマウスは体重増加、内蔵脂肪および皮下脂肪の増加を呈し、大滴性脂肪沈着を伴う脂肪肝および肝障害を発症した。また、KOマウスでは空腹時血糖値が250mg/dLを越え、高インスリン血漿を呈した。さらに、インスリン・トレランス・テストおよびグルコース・トレランス・テストを行なった結果、KOマウスはインスリン抵抗性となっていることが確認された。コリン欠乏食では、KOマウスの肝臓でのコラーゲン遺伝子およびSma遺伝子の発現量が亢進し、肝星細胞の活性化による肝線維化の進行が認められた。また、24週間の投与により多くの結節像が認められ、脂肪肝炎から線維化を経て肝癌に進行する可能性が示された。
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