研究課題/領域番号 |
22590721
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
安保 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30005079)
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研究分担者 |
川村 俊彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70301182)
川村 宏樹 新潟大学, 医歯学系, 講師 (20333495)
神田 泰洋 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00436768)
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キーワード | 肝臓 / リンパ球 / NKT細胞 |
研究概要 |
肝臓は、末梢のリンパ臓器とは大きく異なるリンパ球分布を示し、これら肝臓特異的なリンパ球は、多くの免疫現象に関与し、免疫臓器として注目されている。肝臓に多く存在するリンパ球としては、NKT細胞、NK細胞、胸腺外分化T細胞、γδT細胞などが挙げられ、これらは、肝臓における免疫反応の鍵を握っている。免疫現象との関連のひとつとして、自己免疫性肝炎が挙げられるが、その病態には不明な点も多い。この肝障害のメカニズムを解明するため、これら肝臓に特異的に多く存在する自然免疫系リンパ球を解析し、以下の成果を得た。 肝臓のNK細胞解析において、IFN-αでNK細胞を特異的に活性化し、NK細胞の細胞傷害機能について解析した。DAP12などのアダプター分子を使わず直接NK細胞の細胞傷害性を活性化できる刺激レセプターである2B4は、IFN-α投与マウスにおいて、特に肝臓のNK細胞で発現が増強し、肝臓における細胞傷害活性の向上に寄与することを明らかにした。 α-galactosylceramideによる肝障害において、前年度の解析で、NKT細胞が.自己抗体産生性B-1細胞を活性化し、自己応答への関与を示唆したことから、B-1細胞により産生される自己抗体の組織に対する応答性を解析したところ、肝細胞に対する反応性を示した。 肝臓のNKT細胞の解析において、酵母成分zymosan Aによるグラニュローマ形成へのNKT細胞の関与について検討した。グラニュローマは病原菌の封入に寄与しているが、肝臓においては組織障害を誘導する可能性がある。本年度の研究で、肝臓NKT細胞の活性化に伴い、IL-10産生が誘導されることにより、グラニュローマ形成に重要なIFN-γが抑制され、グラニュローマ形成が抑制されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に計画していた、自己免疫性肝炎における細胞傷害活性レセプターや自己抗体産生B-1細胞の役割については着実に解析が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
予定通りに進んでいる研究については引き続き継続していく。特に、2B4を介して活性化されるNK細胞については直接の細胞傷害性以外に、NK細胞が産生するサイトカインの検索や、そのサイトカインによる作用について解析していく。また、肝炎により増加してくる自己抗体についても炎症の原因となる自己抗体を精製し、直接の肝障害の作用についてより深く解析していく。さらに、今後は肝炎発症メカニズムをふまえた肝障害抑制についても検討を行う。
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