肝癌特異的腫瘍抗原におけるHTLエピトープの同定 これまでに我々が明らかにしてきた肝癌に特異的な腫瘍関連抗原のうち、アルファフェトプロテイン(AFP)とヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)のアミノ酸配列からヘルパーT細胞(HTL)のエピトープとなりそうな配列部位についてコンピュータソフト(TEPITOPE)を用いて予測した。このうち日本人に多いとされるHLA-class II分子の結合モチーフを考慮して、できるだけ多くのHLA-class II分子に結合することが予想される15~20個のアミノ酸配列を選択し、ペプチドを作製した。作製したペプチドは、肝癌患者末梢血リンパ球を用いてIFN-・・enzyme-linked imunospot(ELISPOT)アッセイ法により、患者T細胞に認識されるかを判定し、現在までにそれぞれの抗原について数個ずつのHTLエピトープを含むと考えられるペプチドを同定している。さらに、ペプチドのHLA-class II拘束性を同定できるように、陽性反応を示した肝癌患者のリンパ球をEpstein Barrウイルス(EBV)にて不死化させ、EBV-B細胞を作製した。これら異なるHLA-class II分子をもつEBV-B細胞の組み合わせにより、一部のペプチドではHLA-class II拘束性が確認できた。次年度はさらに多くのHTLエピトープとHLA-class II拘束性の同定を進める予定である。 肝癌患者におけるHTLを介した抗腫瘍免疫反応の解析 上記ペプチドを用いて、約50例の様々な病態を示す肝癌患者の末梢血リンパ球における免疫反応を解析した。また一部の症例では肝癌の治療前後における免疫反応についても解析を行った。次年度はさらに症例数を増やすとともに、肝癌の病態と免疫反応との関連について詳細な解析を進めていく予定である。
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