研究概要 |
NASH/肝細胞癌マウスモデルにおいて、野生型、JNK1-/-、および JNK2-/-マウスの解析を行った。これまでにも、肝細胞癌発癌モデルや細胞株における検討において、肝細胞癌の形成における JNK の関与が示唆されている(Sakurai T. PNAS 2006, Hui L. JCI 2008)。しかしながら、NASH からの肝細胞癌発癌における JNK isoform の役割については報告がなかった。本研究では、平成22年度より投与開始された CDAA diet/80週間による NASH/肝細胞癌モデルにおいて、野生型、JNK1-/-、および JNK2-/-マウスの解析を行った。それぞれのマウスにおいて、肝腫瘍の数、サイズについて解析を行ったところ、JNK1-/-マウスにおいて腫瘍の数、サイズともに減少している傾向がみられた。 また、NASH/肝線維化における JNK inhibitor の効果について解析を行った。これまでの検討により、NASH の病態形成における肝脂肪化、炎症誘導、肝細胞障害、肝線維化、および肝細胞癌発癌の各ステップにおいて、肝細胞、肝星細胞、および Kupffer 細胞のそれぞれにおける JNK1、JNK2 の果たす役割が明らかになってきた。これらをふまえた上で、pan-JNK inhibitor の NASH の進展抑制効果について NASH/肝線維化モデルを用いた in vivo における検討を行った。現在解析中であるが、これまでのところ有意な効果は得られていない。
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