研究課題
C型肝炎コア蛋白質に結合する新規宿主因子としてhnRNPH1/H2/Fを同定し、HCV産生調節における役割について解析した。hnRNPHとhnRNPFはアミノ酸レベルで78%の相同性を有し、hnRNPH1とH2はアミノ酸レベルで99%の相同性を有する。HCVコア蛋白質上のhnRNPH1,hnRNPFの結合領域を解析するためにGST-core蛋白質欠損変異体を大腸菌で発現させ、GST-pull down法で解析した。いずれもコア蛋白質のaa 1-43に強く結合することが明らかとなった。hnRNPHおよびhnRNPFはいずれもRNA結合モチーフを有するRNA結合蛋白質であることから、HCV RNAとの相互作用を解析した。ビオチン化したHCV RNAとストレプトアビジンビーズを用いたpull-down法にて解析したところ、hnRNPHとhnRNPFいずれもHCV RNAのIRES IIId領域に特異的に結合することが示された。Huh7細胞内の内在性のhnRNPH1/H2/Fの蛋白質量を比較したところ、Huh7細胞においてhnRNPHは293T細胞と同レベル発現しているが、hnRNPFは293T細胞に比べて著しく発現量が低かった。次に、ウイルス産生における役割を明らかにするために、HCV JFH1株が感染したHuh7細胞に発現プラスミドを用いてhnRNPHまたはhnRNPFを一過性に発現させ、経時的に細胞内外のHCV RNA量およびコア蛋白質量をqRT-PCR法とELISA法にて測定した。hnRNPHを一過性に発現させると培養上清中のHCV感染性粒子産生量が上昇した。一方、hnRNPFを一過性に発現させると培養上清中のHCV感染性粒子産生量が低下した。これらの結果から、hnRNPHとhnRNPFはHCVコア蛋白質およびHCV RNAへの結合能を介して、HCV産生の調節に関与する可能性が示された。hnRNPHはHCV産生を促進性に、hnRNPFはHCV産生を抑制性に制御していることが示唆された。
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