研究課題/領域番号 |
22590731
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
勝二 郁夫 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (40356241)
|
研究分担者 |
井出 良浩 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70258606)
|
キーワード | C型肝炎 / HCV / ウイルス産生 / コア蛋白質 / hnRNPH / hnRNPF / レポーター |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)コア蛋白質に結合する新規宿主因子として同定したhnRNPH1/H2/FのHCV産生調節における役割について解析し、HCVコア蛋白質とhnRNPH1/H2/Fの細胞内局在を解析した。hnRNPH1/H2/Fはいずれも主として核に存在しているが、hnRNPH1/H2/Fは核と細胞質をシャトリングし、一部細胞質にも存在しており、HCVコア蛋白質と核周囲で共局在した。HCV粒子産生を簡便に評価するためにHCV JFH1株およびJ6/JFH1株にルシフェラーゼ遺伝子を組込んだバイシストロニックレポーターウイルスを作製した。Huh7.5細胞にトランスフェクトし、上清中に放出されたウイルス粒子量とルシフェラーゼ活性がよく相関することを確認した。この系により上清中のルシフェラーゼ活性を測定することで、粒子産生を簡便に評価できるようになった。また、HCV感染性粒子の産生を調節する新規宿主因子を同定するために、HCV NS5A蛋白質に結合する宿主因子をタンデムアフィニティ精製と質量分析法で解析した。Huh-7細胞抽出液をソースにした。質量分析法により10種類の新規NS5A結合因子の候補因子を同定した。その中にユビキチンリガーゼ、脱ユビキチン化酵素、エンドサイトーシス関連因子、ヒストンメチル基転移酵素などを見出した。この中から138kDaのユビキチンリガーゼp138とNS5Aとの相互作用を解析した。Genotype 1bのCon1株とGenotype 2aのJFH1株のNS5A蛋白質とp138の相互作用を免疫沈降法により解析し、p138が1b,2aのNS5Aいずれとも特異的に結合することが示された。HCV NS5AはHCV複製複合体の足場となる因子であり、NS5Aの機能調節機構の解明につながることが期待できた。来年度にはHCV複製におけるp138の意義を明らかにしたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、目標にあげていたhnRNPH,hnRNPFのHCV粒子産生における役割を明らかにした。また、ウイルス産生を簡便に測定する系の樹立に成功した。さらに新しいHCV産生調節因子の候補としてp138を同定することに成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
今回樹立したレポーターウイルスを用いてhnRNPH,hnRNPFのHCV産生における役割を定量的に解析する。さらに今回同定したユビキチンリガーゼp138のHCVのウイルス複製、およびウイルス産生における意義を明らかにする。
|