研究課題/領域番号 |
22590733
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岩崎 良章 岡山大学, 保健管理センター, 准教授 (00314667)
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研究分担者 |
清水 憲二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10037286)
池田 房雄 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10534571)
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キーワード | C型肝炎 / 脂肪肝 / インターフェロン / 遺伝子多型 / IL28B / ITPA / PNPLA3 / コアアミノ酸 |
研究概要 |
1.ペグインターフェロンα(PEG-IFNα)とリバビリン併用療法を導入した1型高ウイルス量のC型慢性肝炎119例のIL28B遺伝子多型(rs8099917)と治療中のウイルス動態の解析では、IL28B minorジェノタイプ(TG/GG)ではIL28B majorジェノタイプ(TT)に比較してウイルス量の減少・陰性化が遅く、無反応例も多かった。治療4週目の早期のウイルス減少もminor例でmajor例に比較して低かった。IL28B minorで著効の得られた例では、治療4週目にウイルス量が1 Log IU/mL以上の減少を示しており、十分なウイルス減少の得られないminor例では全例非著効であり、早期の治療効果予測に有用であった。 2.PEG-IFNαとリバビリン併用療法を導入した1型高ウイルス量のC型慢性肝炎185例において、48週の標準投与群(123例)と52週以上の延長投与群(62例)を比較したところ、延長投与群においてIL28B minorが高頻度であり(P=0.03)、延長投与によりIL28B minor例においても有意差はないものの著効率の改善が見られた。一方、ITPAの遺伝子多型(rsl127354)には両群間で差を認めなかった。リバビリン投与率はいずれの群においてもITPA minor例で有意差はないもののやや高率であった。IL28B、ITPA遺伝子多型解析は延長治療の必要性、治療効果予測に有用であった。 3.新規に診断された肝細胞癌357例におけるPNPLA3遺伝子多型(rs738409)の解析では、B型およびC型肝炎ウイルス関連の肝細胞癌に比較して、非B非C肝細胞癌においてPNPLA3のminor homozygote(GG)が有意に高率であることを見出した(P=0.002)。B型およびC型肝細胞癌においても、PNPLA3 minor homozygoteはアルコール性肝疾患および代謝異常と関連する傾向を認めた(P=0.09)。すなわち、PNPLA3の非ウイルス性肝癌発症との関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C型肝炎におけるIL28BとITPA遺伝子多型とウイルス動態、治療効果、延長治療、治療アドヒアランスとの関連を明らかにすることができた。また、PNPLA3遺伝子多型と非ウイルス性肝発癌との関連を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、肝細胞癌ではMICA、KIF1B、脂肪性肝疾患ではPNPLA3に加えてPEMT、GCKR、NCANなどの疾患関連候補遺伝子を含め、さらにC型肝炎を含め種々の肝疾患、肝病期における遺伝子多型と病態との関連を明らかにする。さらにこれら遺伝子多型と血液生化学データ、肝組織所見、肝組織における遺伝子発現と治療効果との関連における遺伝子多型の関与についても明らかにする。ことに細胞レベルでの遺伝子発現について、蛋白発現の組織学的な解析を併せて行っていく予定である。
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