本研究の基礎となる末梢血細胞の免疫学的評価方法の手技確立を平成22年度は行うことができた。健常者末梢血および非移植C型慢性肝炎患者の末梢血を用いて、以下の検討を行った。 1)-1.CD127腸性及び陰性のCD4陽性CD25陽性T細胞の頻度1)-2.マイクロキメリズムの頻度(マルチカラーフローサイトメトリーによる) 3)HCV特異的な免疫応答の定量(HCV抗原特異的テトラマー解析およびELISPOT法による) 平成22年度前半に、マルチカラーフローサイトメトリー解析の予備実験を終了させた。健常者末梢血より単核細胞を分離し、CD4陽性CD25陽性CD127陰性の制御性T細胞の頻度解析を行った。また、2名の健常者単核細胞で人工キメリズム検体を作製し、キメリズム解析技法を確立した。 HCV特異応答はテトラマー及びELISPO法により評価可能となった。 平成22年度後半に若干例の非移植C型肝炎患者においてこれらのアッセイを行うことができた。その結果を以下に示す。 1.CD4陽性CD25陽性CD127陰性の制御性T細胞の末梢血における割合は健常者に比較してC型肝炎患者で高率であった。さらに、肝細胞ガン合併患者ではさらに高率であることがわかった。 2.HCV特異的免疫応答は、現在までにELISPOT法によるアッセイ法を確立したが、C型肝炎治癒・ウイルス排除例においては強力な応答を認めたが、C型肝炎患者では非常に低い応答しか認めることができていないことが明らかとなった。
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