研究概要 |
Genotype 1型のC型肝炎患者においてIL28B遺伝子多型がTG/GGのマイナーアレルの症例はペグインターフェロン/リバビリン併用(PR)療法の治療効果が低いが,これらの症例の中でも治療によって一度でも血中ウイルスの陰性化が得られる症例(VR, virological response)と一度も陰性化が得られない症例(NVR, non-virological response)がある.多変量解析の結果,IL28B遺伝子多型がTG/GGのマイナーアレルの症例のうち,PR療法に対するNVRに寄与する因子として,高齢,ウイルス量高値,Core70変異型が挙げられた.これらの症例は今後,テラプレビルを用いた3剤併用療法に対しても抵抗性となる可能性がある.1型HCV感染患者の肝生検サンプルを用いた解析では,PR療法によってVRとなった症例はNVRとなった症例に比べ,肝臓内のPKR,OAS,MxAなどのインターフェロン誘導遺伝子(ISGs)発現量が有意に低かった.さらにIL28B多型別に検討するとTTの症例ではTG/GGの症例に比べ,これらの発現は有意に低かった.前年度のヒト肝細胞キメラマウスの結果と併せると,IL28B TTの症例は,TG/GGの症例に比べ肝臓内ISGs発現量が低く,IFN投与によりその発現がより強く誘導されるため,治療効果が高いことが示唆された.
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