平成22年はおもにマウスサンプル,23年はおもにヒト肝生検サンプルを用いて研究を行った.IL28B遺伝子(rs8099917)がTTあるいはTGの肝細胞を移植したマウスにC型肝炎ウイルス(HCV)を感染させ,IFN―αを投与したところ,TTの肝細胞を移植したマウスではTGの肝細胞を移植したマウスに比べ,IFN-α投与4時間後の肝臓内ISGs発現量が高く,2週後の血中のHCV RNAもより低下した. HCV感染患者の肝生検サンプルを用いた解析では,PR療法によってVRとなった症例はNVRとなった症例に比べ,肝臓内のPKR,OAS,MxAなどのインターフェロン誘導遺伝子(ISGs)発現量が有意に低かった.さらにIL28B多型別に検討するとTTの症例ではTG/GGの症例に比べ,これらの発現は有意に低かった.これら2年間の結果から IL28B TTの症例は,TG/GGの症例に比べ肝臓内ISGs発現量が低く,IFN投与によりその発現がより強く誘導されるため,治療効果が高いことが見出され,本年度はこれらの内容を学会にて発表した.
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