研究概要 |
【背景】我々は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態には全身の代謝異常が関連すると想定し骨格筋脂肪化に注目してきた。つまり筋脂肪化は加齢に強く相関し,NAFIDでは正常に比べ筋は脂肪化し非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の進展と脂肪化の進展が関連すること,さらにNAFLDに対する前食事運動療法で肝脂肪化の改善と共に筋脂肪化が改善することを報告している。 【目的】さらに筋脂肪化とNASHの連関を検証するために血清フェリチン,インスリン,IV型コラーゲン7SからなるNAFIC score(Sumida et al. J Gastroenterol,2010)や海外報告の非侵襲的肝線維化予測モデルと筋脂肪化との関連,各予測モデルを構成するパラメータとの関係を検討した。 【方法】対象は非アルコール性脂肪性肝疾患を有する症例で肝生検が施行された症例。骨格筋脂肪化の指標として臍部CTで描出される多裂筋と皮下脂肪とのCT値比で筋脂肪化を定量化し(intra-muscular adipose tissue content, IMAC),NAFIC score関連を評価し,線維化進展へのIMACとNAFIC scoreの寄与を多重ロジスティック回帰分析で検討した。さらにIMACとFIB4 index (Shah,2008),NAFLD fibrosis score (Angulo, 2007), BARD score (Harrison,2008)との関連と各パラメータの関連を評価した。 【結果】NAFLD130例(女性57例)を検討した。SS/NASHはそれぞれ21/109例。NAFIC scoreの上昇によりIMACは有意に進行し(p<0.01),IV型コラーゲン7Sと相関を示した(p<0.01)。また線維化進展への寄与因子としてIMACとNAFIC scoreとが独立因子であることが判明した。 【意義】NAFLDの病態に密接な肝と筋の臓器連関があり,NASHにおける線維化進展には骨格筋脂肪化を来す全身代謝異常及び加齢の影響が示唆された。
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