オステオアクチビン(OA)は大理石骨症モデルラットより単離された膜貫通ドメインを持つ糖タンパクである。我々は、コリン欠乏アミノ酸置換食飼育ラット肝において肝発癌よりも早期に発現亢進する遺伝子群からOA遺伝子を単離した。今年度は、四塩化炭素肝障害モデルを用いて障害肝におけるOAの役割について解析した。8週齢のC57BL/6マウスに四塩化炭素(1μl/g)を単回投与して肝障害を誘導した。(1)血清ALTは四塩化炭素投与48時間後に2526 IU/L(range1190-3690 IU/L)に上昇し、96時間後には55 IU/L(range39-73IU/L)と低下した。(2)肝組織におけるOA発現は96時間後に強く誘導された。(3)組織学的には、48時間後に中心静脈、門脈周囲に壊死およびアポトーシスが著明に認められたが、96時間後には改善していた。(4)蛍光二重染色では、OA発現細胞は壊死巣周囲に局在し、そのほとんどがCD68陽性で、TUNEL法との蛍光二重染色では、OA発現細胞はapoptotic bodyを貧食していた。(5)肝単核細胞分画の解析では、OA発現細胞はほとんどCD68陽性で、CD68陽性細胞の50.8%がOAを発現していた。以上の結果から、四塩化炭素肝障害モデルマウスにおいてOAは肝障害のピークに遅れてマクロファージに発現し、apoptotic bodyの貪食に関与している可能性が示唆された。
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