研究課題/領域番号 |
22590752
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 准教授 (60197986)
|
研究分担者 |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助教 (30341332)
谷口 英太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (50341318)
|
キーワード | iPS細胞 / 平滑筋細胞 / αSMA / 肝細胞癌 / 血管新生抑制療法 / ベクター細胞 / 細胞遊走能 / CXCE4 |
研究概要 |
in vitroの検討 マウスiPS細胞から平滑筋細胞への分化誘導を行った。その結果、免疫組織化学による検討では、平滑筋細胞への分化を示すαSMA陽性の細胞と内皮細胞への分化を示すCD31陽性細胞が観察され、FACSによる解析でαSMA陽性の細胞とCD31陽性細胞は各々約30%を占めていた。次に、これらの細胞をsingle cell cultureし、αSMA陽性の細胞を単離した。Western blottingとTR-PCRによる解析では、単離された細胞は腫瘍や炎症部位への遊走に不可欠なCXCR4やVEGF receptor-1,2を発現していた。マウス骨髄細胞から分化誘導したαSMA陽性細胞と遊走能をBoyden chamber法にて比較した結果、両細胞とも同等の遊走能を示した。この結果、iPS細胞から誘導したαSMA陽性の細胞は大量に作成可能であり骨髄細胞由来のαSMA陽性細胞と同等の遊走能を持ち合わせていることが明らかとなった。さらに遊走能の強力な細胞を作成するためCXCR4を遺伝子導入した細胞の作製を行っている。 in vivoの検討 iPS細胞から誘導したαSMA陽性細胞を大量培養し、ヌードマウスの皮下にヒト肝癌細胞株であるKYN-2を接種して作成した肝癌モデルの尾静脈から蛍光色素でラベルした後に投与し(10^6個)、腫瘍組織への遊走を検討した結果、iPS細胞から誘導したαSMA陽性細胞は腫瘍組織に選択的に遊走していた。この結果、in vivoにおいてもiPS細胞から誘導したαSMA陽性細胞は腫瘍組織への遊走能を有しており、本研究の目的である腫瘍での血管新生抑制療法のためのベクター細胞になりうる細胞であることが証明された。現在、その遊走の程度を骨髄細胞由来のαSMA陽性細胞と比較検討中である。
|