研究課題
CFTRは、上皮膜(気道粘膜、消化管粘膜、膵導管)の管腔膜に発現するcAMP依存性陰イオンチャネルであり、NHE3やSLC26陰イオン交換輸送体などのHCO3-/H+輸送体と複合体を形成して、管腔内液のpHと水分量を最適な状態に保っている。CFTR遺伝子変異によりCFTR機能が失われると、粘稠で酸性の分泌液が管腔を閉塞し、膵外分泌機能不全、胎便性イレウス、難治性呼吸器感染などの病態を示す嚢胞性線維症を発症する。また、白人に限らず日本人においても、軽度の変異や多型の組み合わせによる中等度のCFTR機能障害が慢性膵炎の危険因子となる。嚢胞性線維症や進行した慢性膵炎患者の膵液はアルカリ性でないというだけでなく酸性に傾いていることがある。これは、CFTRに依存するHCO3-分泌の低下だけでは説明できない。我々は、細胞外のNa+と交換で細胞内のH+を排出するNa+-H+ exchangerのisoform 3(NHE3)が膵液を酸性化させる原因分子であることを見出した。嚢胞性線維症のモデル動物であるCFマウスから小膵管を単離して、cAMP刺激24時間後の管腔内pHを測定したところ、表層灌流液よりも酸性に傾いていた(正常マウスの膵管ではアルカリ性)。この膵液酸性化はNHE3の阻害剤によって抑制された。嚢胞性線維症では、CFTRによるNHE3の制御機構が破綻し、NHE3を介する病的なH+分泌が起こると考えられる。NHEの活性化の原因を調べるために、ワイルドタイプマウスおよびΔFマウスの単離膵管を用いてNHE3およびCFTRのRT-PCRを行ったところ、NHE3の発現はΔFマウスではワイルドタイプマウスに比し増加していた。ΔFマウスではNHE3の発現が増えることにより、NHE3の活性化が起こっている可能性がある。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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