研究課題/領域番号 |
22590758
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大原 弘隆 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80285212)
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研究分担者 |
中沢 貴宏 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (70305522)
安藤 朝章 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (40423850)
林 香月 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00405200)
内藤 格 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30527750)
兼松 孝好 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20381824)
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キーワード | IL-10 / MAdCAM-1 / 慢性膵炎 / 膵血管内皮細胞 |
研究概要 |
【目的】 急性膵炎の初期には臨床的には膵浮腫が生じることが明白であるが、その発症機序は不明である。申請者らは膵臓由来血管内皮細胞株(PMEC)を樹立しており、in vitroで膵浮腫発生機序を解明する。また抗炎症性サイトカインであるIL-10による膵炎抑制効果を検討する。 【方法】 (1)申請者は、以前より炎症性腸疾患における炎症を誘導する中心的役割をする接着因子であるMAdCAM-1に注目している。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IFN-γ)刺激後のMAdCAM-1発現の用量依存性や時間依存性をウエスタンブロット法を用いて検討する。次に抗炎症性サイトカイン(IL-10)を同時投与および前投与(24時間)し、MAdCAM-1発現を検討する。 (2)24年度に予定しているIL-10アデノウイルスによる膵炎抑制効果の検討に用いるため、293細胞を使用し、このIL-10アデノウイルスベクターを作成、増幅する。 【結果】 (1)TNF-αIL-1β刺激後、12時間後でMAdCAM-1の発現を確認し、24時間後でプラトーになった。またにMAdCAM-1の発現にTNF-αIL-1βの濃度依存性を認めた。一方、IFN-γ刺激ではMAdCAM-1の発現は認めなかった。次にIL-10同時投与ではMAdCAM-1発現は影響を与えなかったが、前投与ではMAdCAM-1発現の減弱を認めた。 (2)現在293細胞を用いて、IL-10アデノウイルスの増幅実験を施行中である。 【考察】 本研究では、各種炎症性サイトカインにより、膵血管内皮細胞における接着因子MAdcAM-1が発現することが示された。MAdcAM-1発現はリンパ球の接着を示唆するものであり、IL-10によるMAdcAM-1が発現抑制は、抗炎症作用が期待できる。次年度はin vivoのモデルを使用し、膵炎抑制効果を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IL-10アデノウイルスの増幅が困難である。
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今後の研究の推進方策 |
IL-10アデノウイルスによるIL-10増幅よりも、IL-10誘導薬剤投与による膵炎抑制効果も検討しており、治療に直結する可能性が高いと考える。
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