研究課題
【目的】急性膵炎の初期には臨床的には膵浮腫が生じることが明白であるが、その発症機序は不明である。申請者らは膵臓由来血管内皮細胞株を樹立しており、in vitroで膵浮腫発生機序を解明するため、抗炎症性サイトカインであるIL-10による膵炎抑制効果を検討してきた。これまでに膵臓由来血管内皮細胞株を用いてマウスIL-10を用いて細胞間電気抵抗値(TER)を測定し、検討してきた。現在、IL-10誘導薬剤として、酢酸グラチマラーが知られている。酢酸グラチマラーは分子量14000‐23000のL-アラニン、L―リジン、L-チロシンから合成されたミエリン構成たんぱく類似物質で、多発性硬化症の治療薬であり、酢酸グラチマラーの今回、in vivoでの膵炎抑制効果を検討する。【方法】20-22gマウスを用いてセルレイン(50μg/kg、1時間ごと8回投与)による膵炎を作成した。酢酸グラチマラーはセルレイン膵炎作成4日前より2.5mg連日腹腔内投与、計5回投与した。今回①コントロール群 ②生理食塩水前投与、セルレイン膵炎群 ③酢酸グラチマラー前投与、セルレイン群でのマウス重量、膵重量の測定、膵炎の病理組織学的検討を行った。【結果】コントロール群での体重あたりの膵重量は1.41%であった。生理食塩水前投与、セルレイン膵炎群では1.93%であり、一方、酢酸グラチマラー前投与群では1.77%であった。現在、病理組織的に膵炎の炎症スコアを評価中である。【考察】本研究では、現在、IL-10誘導薬剤として、酢酸グラチマラーが膵炎抑制効果の可能性があることを示唆するものあると考えた。今後はさらに、酢酸グラチマラーの至適量の検討が必要となってくると考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。