研究課題/領域番号 |
22590763
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
緒方 晴彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30177117)
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研究分担者 |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40245478)
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キーワード | 拡大内視鏡 / 炎症性腸疾患 / 迅速病理診断 / 潰瘍性大腸炎 / リアルタイム |
研究概要 |
1)免疫難病潰瘍性大腸炎のリアルタイム病理診断の確立 潰瘍性大腸炎(UC)大腸粘膜観察でこれまでMatts'病理分類が広く臨床に用いられてきたが、UC患者の内視鏡スコアとしてECSスコア(合計6点)を設定し、Matts'病理スコアと極めて強い相関を認めることを明らかとした。これは画期的なアドバンテージであり、リアルタイムに病理診断の可能性を秘めた追求と言える。当然、これまでの病理診断の検体数の削減につながる可能性を示唆した。本成果は国際医学雑誌(Bessho R,Ogata H,et al.Correlation between endocytoscopy and conventional histopathology in microstructural features of ulcerative colitis.J Gastroenterol.2011;46:1197-202.)に報告した。 2)急性消化管感染症の病原体観察と診断の確立 ECS内視鏡診断の応用として、アメーバ性大腸炎におけるアメーバ虫体のECS検出に成功した。アメーバ性大腸炎をほぼ100%、通常観察とECS観察を組み合わせることにより病理フリーで診断することが可能であった(Hosoe N,Ogata H,et al.In vivo visualization of trophozoites in patients with amoebic colitis by using a newly developed endocytoscope.Gastrointest Endosc.72:643-646,2010.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請の段階では、1)免疫難病潰瘍性大腸炎のリアルタイム病理診断の確立、2)急性消化管感染症の病原体観察と診断の確立、3)生体腸管微細構造の運動生理学の確立の3つの主題で検討を開始したが、うち1),2)について国際医学雑誌への発表を達成し、かつ、応用した研究は現在進行していると自己点検した。しかし、3)については平成24年度に速やかに展開し成果を上げたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)免疫難病潰瘍性大腸炎のリアルタイム病理診断の確立;ECSスコアの細分化により、潰瘍性大腸炎のECS再発予知所見を明らかとしたい。2)急性消化管感染症の病原体観察と診断の確立;アメーバ性大腸炎での検討をさらに積み重ねるとともに、ヘリコバクター・ピロリ菌、結核菌の検出についても挑戦してみたい。3)生体腸管微細構造の運動生理学の確立;1),2)でのノウハウを基盤に、過敏性大腸症候群などのリアルタイム腸管運動と粘膜内血流との相関を明らかとしたい。
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