研究概要 |
本研究は超音波内視鏡を用いた診断・治僚法を研究開発することを目的とし犬を用いる前臨床研究と実際の臨床で得られた検査および治療の評価を行う臨床研究で構成される。平成22年度は、超音波内視鏡ガイド下経消化管的胆嚢ドレナージ術の前臨床研究として、犬の胃内へ超音波内視鏡スコープを挿入し、超音波ガイド下で胆嚢を穿刺し、穿刺孔よりステント留置を行えるかどうかを検討し、細径(4Fr)のプラスチックステント留置が行えることが判明した。また、臨床研究として、原発不明の腹腔内腫瘤の良悪性診断における造影ハーモニック超音波内視鏡検査の有用性を検討したところ、高感度(96.3%)、高特異度(100%)で悪性と良性の鑑別診断が行えることが証明された(Gastrointestinnal Endosc 72 : 637-642, 2010)。また、造影ハーモニック超音波内視鏡検査がGI STの悪性度評価にも応用できることを報告した(Gastrointestinnal Endosc 73 : 227-237, 2011)。さらに、膵癌に伴う癌性疼痛に対して超音波内視鏡を用いて上腸間膜動脈周囲まで穿刺しエタノールによる神経融解術を行うと、従来の腹腔神経叢融解術よりも大きい疼痛緩和効果が得られることを報告した(Am J Gastroenterol 105 : 2599-2606, 2010)。その他、超音波内視鏡ガイド下ドレナージ術が胆道・膵管の減圧にも有用であることを報告した(Endoscopy 42 : E331-332, 2010 ; Digetive Endoscopy 42 : 217-219, 2010)。
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