研究課題
本研究は、超音波内視鏡を応用した消化器疾患の診断・治療法を研究開発することを目的とした。診断に関する研究では、膵腫瘍性病変の質的診断、消化管粘膜下腫瘍の悪性度評価、原発不明腹腔内腫瘤の良悪性鑑別診断等における、造影ハーモニック超音波内視鏡検査による血流評価の臨床的有用性を、Gastrointestinal Endoscopy Clinics of North Americaにて総説として報告した。また、膵癌症例において血管新生に関連した9分子の血清濃度を測定し、予後との関連を検討した結果、インターロイキン8が、遠隔転移例および化学療法無効例に高値であり、予後予測に使用されうるバイオマーカーであることが確認され、Japanese Journal of Clinical Oncologyにて発表した。治療に関する研究では、主に超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ術(EUS-BD)の治療法およびその治療成績についての検討を行った。前臨床研究では、穿刺部の拡張、ステント留置の際には、超音波画像ガイド下で行うことにより、ガイドワイヤーやステントの逸脱が防ぐことができることが判明した。また、胆汁や膵液の漏出を防ぐためには、拡張操作をできるだけ早く行えるデバイスが有用であることが考えられた。臨床応用では、経乳頭的ドレナージ術が不能な閉塞性黄疸62例に対してEUS-BDを行い、ドレナージルート別で、手技成功率、臨床的改善率および偶発症発生率を評価したところ、それぞれ95-100%および86-100%であり、その有効性が確認された。一方、全体での偶発症発生率が26%であり、さらに安全な治療法となるには今後の機器・手技の開発が必要と考えられた。本研究成果は、第83回日本消化器内視鏡学会総会にて報告した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: 42 ページ: 105-112
DOI: 10.1093/jjco/hyr178.
Gastrointestinal Endoscopy Clinics of North America
巻: 22 ページ: 349-358
DOI: 10.1016/j.giec.2012.04.013.
Gastrointestinal Endoscopy
巻: 76 ページ: 892-899
DOI: 10.1016/j.gie.2012.06.012.