本研究は、心臓再同期療法の適応決定において、新たな心エコー技術であるスペックルトラッキング法が有効か否かを検証する前向き多施設協同研究として遂行されている。症例登録開始から2年が経過する2011年8月を持って症例登録を終了した。目標登録症例数200例に対して、全国17施設から合計187例の登録を頂いた。2012年9月30日において登録後12ヶ月での臨床評価および心エコー図検査記録の登録が終了した。 スペックルトラッキング法で計測した心臓非同期指標の心臓再同期治療(CRT)のレスポンダーを予測する有用性について検討を行った。その結果は2012年3月に行われた日本循環器学会学術集会において、late breaking clinical trialセッションで発表する機会を得た。CRT後左室容量が15%以上減少し、CRTレスポンダーと診断されたのは58.5%であった。CRTレスポンダーの予測因子では、術前の左脚ブロックの存在、利尿薬の使用、およびスペックルトラッキング法で計測した左室非同期指標が独立した予測因子であった。スペックルトラッキング法の指標では円周方向ストレイン値による指標が最も有用である事も明らかとなった。また、症状をNYHA classの改善で評価し、NYHA class1以上の改善をレスポンダーの指標とした場合にも、スペックルトラッキング法で計測した左室非同期指標が独立した予測因子であった。このように、本研究は心エコー図指標がCRTレスポンダー予測可能な指標である事を、はじめて多施設共同研究において有用である事を明らかにする事が出来た。また、新たな心エコー法であるスペックルトラッキング法が唯一有効な方法であることも明らかにする事が出来た。 論文の骨子を作成し、早期の論文化を計る準備を行った。
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