研究課題/領域番号 |
22590770
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
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研究分担者 |
齊藤 幹 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (60422292)
塚本 和久 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (20251233)
関 常司 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30206619)
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キーワード | アンジオテンシンII / リポトキシシティ / 心機能(収縮能/拡張能) / 線維化 / PPARγ / 体外灌流モデル / 再灌流障害 / ラットモデル |
研究概要 |
われわれは、アンジオテンシンIIの持続投与ラットの心臓において、中性脂肪を主成分とした脂質集積が認められること、また、脂質集積部位において、スーパーオキサイドの過剰産生が生じていることを報告した(Eur J Pharmacol.2009 ; 604(1-3) : 87-92)。今回の検討では、心臓の脂質集積の改善が、アンジオテンシンIIによるラット心の形態的・機能的な改善につながるかどうかを検討した。 心筋における脂質代謝改善の目的で、アンジオテンシンII投与にくわえ、PPARγアゴニスト、ピオグリタゾンを経口的に強制投与した。心臓の形態的障害の検討は、心臓の線維化領域の定量により検討した。心機能については、循環血漿量の増減の問題を回避するため、摘出心について、ランゲンドルフシステムにて、dp/dtを計測することで評価した。 アンジオテンシンII投与は、血清中性脂肪濃度を1.8倍に増加したが、ピオグリタゾン投与により、1.3倍に抑制された。また、ピオグリタゾン投与は心臓の組織中性脂肪量をコントロールレベルまで減少し、線維化も有意に抑制した。ランゲンドルフによる心機能評価では、アンジオテンシンIIの単独投与自体は、当初の予想と異なり収縮能・拡張能ともに、有意な低下を惹起しなかった。そこで、体外灌流モデルにおいて、30分間のglobal ischemiaにより無酸素-再酸素化障害を与えたところ、アンジオテンシンII投与群では再灌流時の収縮能、拡張能はともに低下しており、虚血に対する予備能が低下していると考えられた。また、ピオグリタゾン投与は、アンジオテンシンII投与による無酸素-再酸素化後の心機能低下を有意に抑制した。 これらのことから、ピオグリタゾンは、アンジオテンシンII投与による心臓の形態的、機能的低下を改善し、またその機序として、心臓の脂質含量増加の抑制が関与している可能性が示唆された。
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