研究課題
慢性心不全患者で、免疫吸着療法の適応がある患者のスクリーニング検査を入院患者の中から候補者を選択し、インフォームドコンセントがえられた患者に対し免疫吸着療法を施行した。対象患者は、心不全治療(薬剤に関してはACE阻害薬、あるいはARB,β遮断薬など)を行ったが、治療抵抗性で心不全症状が改善しない患者とした。免疫吸着療法を3クール施行した患者を経時的に心エコーを用いて心機能の評価を行った。免疫吸着療法前、施行後1、2、3、4、5、6、9、12ヶ月の時点でそれぞれ心エコー評価を行った。経時的変化を比較検討できるように、治療施行前の画像を心エコー装置(GE社製VIVID7)のハードドライブに記録し、その後の追跡検査時に同じ条件で画像を得ることができるように細心の注意を払った。特に画像設定の深度、フレームレート、カラードプラの設定、血流測定の関心領域の深さの設定は、各検査間で同一となるよう注意を払った。傍胸骨左縁長軸像、短軸像、心尖部像(4、2腔像、長軸像)をスペックルトラッキングによる解析が可能なフォーマットで記録し、後に必要となる解析(GE社製Echo PACPC)が可能となるようにMOディスクに記録した。また、血流ドプラ記録(僧帽弁血流、肺静脈血流、左室流出路血流)、組織ドプラ(心尖部4腔像における心室中隔基部、側壁基部)も同時に行った。心エコー検査と平行して、血中BNP濃度などの測定を行った。また、吸着療法前後で血液中のIgGの量を定量評価した。引き続き対象患者のフォロー検査を行ってゆく。スペックルトラッキングは、従来のエコー法と比べ、ごくわずかな心機能の変化をとらえることが可能と考えられており、客観的な心機能の変化を観察することが可能と考えられる。
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