研究概要 |
正常及び糖尿病ラットの灌流心における虚血障害と虚血領域のレニン、プロレニン受容体量の検討 【方法】Wistar rat (non-DM)及びGoto-Kakizaki rat (DM)より心臓を摘出し、Langendorff装置に装着して灌流する。250/分で電気刺激し左室発生圧と左室拡張終期圧を測定する。組織中のrenin、angiotensin II、prorenin、prorenin受容体は、免疫染色、Western blottingにて測定する。虚血は、摘出心の灌流を90分間完全に停止させる。【結果】Non-DM群に比し、DM群で虚血後の左室拡張終期圧の上昇および左室発生圧の低下は軽度であった。また、non-DM群において虚血領域のreninの増加が大きく、prorenin受容体の増加は軽度であった。以上より、糖尿病における虚血耐性にreninが関与する可能性が示唆された。今後、虚血/再灌流モデルでのnon-DM,DM群の差、aliskiren、candesartan, spironolactoneの効果を検討する予定である。 冠動脈病変を有する糖尿病症例における直接的renin阻害薬の脂質代謝およびサイトカインへの効果 【方法】外来通院中の安定した糖尿病を有する冠動脈疾患症例30例を対象とする。患者は全てangiotensin II受容体拮抗薬(ARB)を服用しておりrenin阻害薬のaliskiren(150mg/日)の血圧、脂質、サイトカインに対する上乗せ効果を検討する。【結果】血漿renin活性は低下し、収縮期、拡張期血圧がともに有意に低下したが、心拍数は変化しなかった。LDL-c,HDL-c,TG,MDA-LDLコレステロール,Apo蛋白など脂質に変化になかった。また、adiponectine, hsCRP, MCP-1, p-selectinなどサイトカインにも変化はなかった。今後は、症例を増加し、ARBからaliskirenへの変更による効果も検討する。
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