研究課題
日本人心血管疾患患者とハイリスク患者における血管内皮細胞障害を臨床的に評価するために、冠動脈疾患疑い患者と心不全患者において、生理学的評価であるRH-PAT測定で検討した。心臓再同期療法を行った心不全患者において治療後に有意な血管内皮機能改善を認めた。左心室収縮の保たれた心不全患者(HFNEF)においてRH-PAT測定で評価した血管内皮機能は将来の心血管イベント発症の有意な独立した危険因子であることが明らかとなった。虚血性心疾患疑いの患者においては、冠動脈造影検査で有意な器質的狭窄を有さない患者で、多段階投与によるACh負荷試験を行いFloWireによる左冠動脈前下行枝近位部における冠動脈血流量測定と大動脈-冠静脈洞における乳酸測定を同時施行し(新たな冠動脈ACh負荷試験)、冠動脈血管内皮細胞機能、冠微小循環、心筋虚血の評価を総合的に行った。その結果、冠微小血管攣縮性狭心症の臨床背景の特徴として痩せた閉経後女性で非発作時に境界領域の虚血性心電図変化を示し、非発作時冠動脈血流パターンに特徴があることが明らかとなった。心嚢脂肪蓄積が左心室拡張障害存在の独立した危険因子になること、冠動脈プラーク全体容積の評価を64列心臓CT検査で評価しMetabolic Syndromeの存在で有意に冠動脈プラーク量増大が確認された。スタチンと運動療法の併用による介入研究でアロルバスタチンに比べてロスバスタチンによって有意なHDL上昇効果が確認された。新たな糖尿病治療薬であるDPP-IV阻害剤による治療で動脈硬化モデルであるApoE欠損マウスにおいてSitagliptinは有意に動脈硬化行変形成を抑制することが明らかとなった
2: おおむね順調に進展している
研究結果の集計と統計解析は完了し、今年は論文作成と発表の段階となっており順調な経過と考えられる。
臨床研究において心血管イベント発生を検討するために予後調査を行う。順調に研究は遂行できており問題点や変更点はない。
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