血管内皮機能障害を臨床評価するためにEndoPAT2000を用いてReactive Hyperemia Peripheral Arterial Tonometry (RH-PAT)法により非侵襲的に検討を行った。拡張不全心不全患者においてRH-PAT法で血管内皮機能を評価し将来の心血管イベント発症を前向きにフォローした。RH-PATにより評価した血管内皮機能障害の存在は心血管イベント発症の独立した関連因子であることが明らかになった。血管内皮機能障害を有し糖尿病コントロールが不十分な冠動脈疾患患者において、新たな経口糖尿病治療薬Dipeptidyl Peptidase-IV(DPP-IV)阻害剤の血管内皮機能改善効果をRH-PAT法で評価し検討した。DPP-IV阻害剤であるSitagliptinは既存糖尿病治療強化群よりも有意に血管内皮機能改善効果を発揮した。冠微小血管攣縮性狭心症の臨床背景とCa拮抗薬による治療予後を検討した。冠微小血管攣縮性狭心症患者は、女性に多く肥満、炎症はなく非発作状態において冠循環指標に異常を認め、アセチルコリン負荷試験で血管内皮依存性拡張反応の低下を認め、血管内皮機能障害の存在が明らかとなった。Ca拮抗薬投与によるフォローアップで心血管イベントは認めなかったことにより古典的冠攣縮性狭心症と同様にCa拮抗薬による治療の有用性が示された。虚血性心疾患が疑われる患者において冠動脈造影検査の際に冠静脈洞と大動脈でTroponin-Tレベルを高感度アッセイにて測定し心臓から冠循環へ放出されるTroponin-T量を評価した。粥状動脈硬化病変を伴わない冠動脈で一過性心筋虚血をアセチルコリン負荷試験で誘発しえた冠攣縮性狭心症発作によって心筋Troponin-Tが冠循環へ放出されることが初めて確認された。
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