本年度は、摘出心房標本におけるブレビスタチン誘発性不整脈(撃発活動および異所性自動能)の発現時における膜電位感受性色素を用いた光学的マッピングのデータの蓄積をおこなった。その結果、ブレビスタチン誘発性撃発活動においては、電気刺激により誘発された最初の活動電位に続いて発現する第二の活動電位の発生源およびその伝播範囲が撃発活動のイベントによって異なっていることが明らかにされた。さらにその伝播の空間的パターンにおいても、時に変則的な変化がみられることが明らかとなった。また、異所性自動能についても、その発現のイベントによって異所性ペースメーカーの位置が異なる例がみられた。さらに、撃発活動と異所性自動能の混合パターンもみられることを明らかにした。これらの実験結果で見られるイベント間の発現パターンの変化に注目し、その視点からのデータの解析を開始した。 一方、カルシウムイオンイメージングを用いた実験では、心房摘出標本に対してカルシウムイオンイメージングをおこなうための光センサーとして新型CCDカメラを導入し、その性能を検討した。また、従来から問題になっていた光学系では、従来の正立型大型顕微鏡に代えて、実体顕微鏡を改造した光学系を設計する方向へ方針転換し、測定システムの基本的設計のを完成させた。さらにあわせて、もうひとつの重要な条件であるカルシウムイオンプローブを標本に取り込ませる至適条件の探索をすすめ、プローブとしてカルシウムグリーンが適していることを明らかにした。
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