研究概要 |
平成22年度研究実績 「研究実施」:既に開発したvector projection theoryによる187ch高分解能心電図(187ch SAVP-ECG)に関する基本特許を基盤に、新たなソフトウエアを開発して臨床的意義を検証した。(1)187ch SAVP-ECGによる二次元再分極機能図(RTpeak-end dispersionとT-wave current altemance(TWCA)map)を解析するソフトウエアを開発した。TWCA map作成アルゴリズムは、187chでのタイプAとタイプBの心電図波形の"電流密度分布の差分"として相対表示した。QT延長(薬剤誘発例を含む)と除細動機能付きCRT植込み患者のリスク評価に関する検証を行った.(2)187ch SAVP-ECGで心房細動波スペクトル分布を解析するソフトウエアを開発して、平均周波数と二次元ペクトル分布図より心房細動例の解析法を検証した。心房細動波二次元スペクトル機能図解析アルゴリズムには、QRSを除去して心房細動波を抽出、最大エントロピー(MEM)法で心房細動波のスペクトルを求めた。解析ソフトウエア検証のための下記の症例を登録した。先天性QT延長10例、植え込み型電子機器(CRT)装着症例61例(志賀剛との共同研究)、心房細動20例(満永との共同研究)。 「研究成果」(1)先天性QT延長例(G-I,G-II:TWA著明例)のTwcAは、健常群(cont)に比べて増大した(G-1 2.1%&G-II32.3%vs.Cont0.5%)(Nakai et al.Heart Vessels, 2011)。(2)CRT植え込み例でのICD作動は、Tp-e dispersion増大群(88±22ms vs. 59±23ms)で高頻度であった(Suzuki et al.J Electrocardiol, 2010)。(3)スペクトル解析による二次元機能図の平均周波数は、心房粗動波4.2±0.39Hz、心房細動波7.1±0.2Hzであり、64ch心磁図による結果との相関は良好であった。((29th ICHSIP発表)。(4)64ch心磁図により、胎児多形性心室頻拍例のQT延長の出生前診断が可能であった(Fukushima et al.Heart Vessels, 2010)。
|