研究概要 |
【研究計画】致死的不整脈の発症に関わる心筋の再分極現象(T-wave current alternans, TWCA)および心室遅延電位や心房細動波のスペクトラムを一元的に解析しうる次世代多チャネル高増幅・高分解能心電計(DREAM-ECG)のためのソフトウエア開発を行い、新しい指標の臨床的有用性を検証する。また、3.11の大震災の経験を踏まえ、災害時にも遠隔での心電図診断が可能なプロトタイプDREAM-ECGを試作する。 【研究実績】1.TWCAおよび心房細動スペクトラム解析に関わる新しいソフトウエアの特許審査請求を行った。2.致死的不整脈の予知指標の1つである心室遅延電位のスペクトラム解析による新たなプログラム開発(①Wavelet解析、②MEM法による周波数解析)を行った。MEM法により心室遅延電位の周波数レベルの定量的評価が可能となった(第77回日本循環器学会で発表)。3.致死的不整脈の発症に関わる心筋の再分極現象(T波交互脈;TWCA)に関わるプログラムの有用性を臨床例で検証した。心臓再同期療法を施行した重症心不全例(60例)でTWCAおよび心室遅延電位解析による不整脈誘発のリスク評価を行った。再分極指標であるRTC dispersionとTWCAは、心臓再同期療法の適切作動例の評価に有用であった(第29回日本心電学会、5th APHRS (台北)で発表)。4.前年度に購入した2種類のPC(屋外使用用PC、タブレット型)の遠隔診療対応ソフトウエアを至適化して、岩手医科大学心臓磁界研究室と遠隔地での高分解能心電図の記録を実証した。 今後、岩手医科大学循環器医療センターCCUと被災地域の関連病院間で災害対応型プロトタイプ心電図のインターネット回線を利用したデータ互換性、病院間での心電図の遠隔診断など実臨床での有用性を検証する。
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