研究概要 |
1)血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell=EPC)の分化動態解析法(EPCコロニーアッセイ)を開発した。本手法を用いて、臍帯血造血幹細胞分画(CD133+細胞)のEPC分化段階における表現型を解析した。その結果、(1)未分化型、分化型コロニー形成性の各EPC,さらに分化したコロニー非形成性EPCに形態学的分類が可能なこと、(2)分化に伴い血管形成、再生能が上昇することが判明した。 2)そこで、上記方法を用いて臍帯血単核球中の造血幹細胞分画(CD34+細胞)及びCD34-細胞分画についてEPCコロニー形成能を検討した。CD34+細胞分画にコロニー形成性EPCが、CD34-細胞のCD14+細胞分画にコロニー非形成性EPCが存在し、EPCは分化に伴いCD34抗原性を失うことが判明した。 3)さらに、分化過程上流のCD34+細胞分画中のEPC分化度を同様に探索した。CD34+細胞をCD133及びCD38抗体を用いて、A(CD133+/CD38i),B(CD133+/CD38+),C(CD133-/CD38+)の3つの細胞分画に分類した。未分化造血幹細胞分画のCD34+/CD38-細胞は100%がCD133+細胞であった。また、B分画をB1(CD38弱陽性)、B2(強陽性)に分類し、各分画のEPC分化度を調べた。EPC分化度は、A=2.7%,B1=16.3%,B2=29.3%あり、C分画からはEPCが産生されなかった。これは、EPCの起源がCD34+/CD133+分画のCD38-細胞分画に存在し、未分化段階ではCD34+/CD133+抗原を保持し、CD38の発現が上昇するにつれて分化が進むことを示す。その後、コロニー非形成性EPCとしてCD34-/CD133-/CD14+に分化するが示唆された。 4)以上の結果は、血管再生医学における世界で初めての研究成果である。
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