研究概要 |
背景・目的;造血幹細胞(CD34+細胞)由来血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell= EPC)の分化動態解析法(EPCコロニーアッセイ)、及び増幅分化培養法(Ex培養)(特許取得 第4964121号)を開発した。本手法により、EPCの起源、分化プロファイルの解明を目的とした。 方法・結果;採取した臍帯血CD34+細胞において、幹細胞分画中のEPC分化度を1)の手法により探索した。CD34+細胞をCD133及びCD38抗体を用いて、A(CD133+/CD38-)、 B (CD133+/CD38+)、C (CD133-/CD38+)の3つの細胞分画に分類した。未分化造血幹細胞分画のCD34+/CD38-細胞は100%がCD133+細胞であった。また、B分画をB1 (CD38弱陽性)、B2 (強陽性)に分類し、EPCコロニーアッセイにより各分画のEPC分化度を調べた。A、 B1、B2の順に、EPC分化度が上昇し、C分画はEPCコロニーを産生しなかった。また、A、B1、B2分画の順に、幹細胞抗原ckit抗原性の低下、血管再生性責任抗原CXCR-4の抗原性の上昇が認められた。すなわち、EPCの起源がCD34+/CD133+分画のCD38-細胞分画に存在し、EPCコロニー形成性段階ではCD34+/CD133+抗原を保持し、CD38の発現上昇と共に、未分化幹細胞抗原ckit発現低下、血管再生性抗原CXCR-4発現上昇が判明した。さらに、A, B, C各分画のEx培養後の評価においても、A、B1、B2各分画の培養EPCの順にckit抗原消失、CXCR-4上昇、EPCコロニー形成能の減弱が認められた。 結論;EPCの起源は、CD34+/CD133+/CD38-の幹細胞分画であり、未分化指標がckitであり、分化指標はCD38、CXCR-4であることが判明した。
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