研究概要 |
本研究では、心筋細胞が慢性心負荷状態でたどる「代償性心筋細胞肥大から細胞死」という一連の細胞挙動を統合的にとらえ、Ca流入性TRPチャネルによる心筋細胞の運命制御について検討することを目的とする。本年度はおもにTRPチャンネルの細胞内セカンドメッセンジャーであるSTIM1の動態について詳細に検討した。STIM1ノックアウトマウスに大動脈縮窄手術を行い,4週間後に心肥大の形成度を検討した.いずれも10週齢体重25g程度のオスで縮窄度が98%前後と確認できたものを用いて解析をおこなった.野生型では心体重比(mg/g)が4.0から5.9まで増加したのに対し,STIMIノックアウトマウスでは4.6から4.7とほぼ変化を認めなかった.心肥大の指標であるBNP発現量,ANF発現量においても同様の傾向を認めた.以上からSTIM1ノソクアウトマウスでは野生型に比べ心肥大がおきにくい性質があることを見出した,今後は,独自のCa^<2+>流入経路であるストア作動性チャネルの構成因子およびその活性化機序に焦点を当て,心肥大形成から細胞死に至るまでの分子メカニズムにおけるTRPチャンネルの関与を明らかにする.
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