研究課題/領域番号 |
22590802
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本間 覚 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00302422)
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研究分担者 |
酒井 俊 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30282362)
石井 哲郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20111370)
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キーワード | 心肥大 / 心不全 / RNAポリメラーゼ / 遺伝子発現制御 |
研究概要 |
心肥大の形成過程において、RNAポリメラーゼII(Pol II)の活性亢進による転写産物の産生増加が認められ、そこにPol II活性を正に制御するCdk9の活性増加が関与している。一方、Pol II活性を負に制御するFCP1(後述)の不全心筋における役割は不明であった。そこで、Pol II CTDのリン酸化状態の制御に関し、脱リン酸化反応についても検討を始めた。その理由は、Pol II CTDのリン酸化状態が精密に調節されるためには、Cdk9によるリン酸化反応のみならず、脱リン酸化反応も必要ではないのかと着想したからである。 本年度は心筋特異的FCP1トランスジェニックマウスおよび、FCP1のフォスファターゼ活性をなくしたドミナントネガティブFCP1(FCP1-DN)トランスジェニックマウスを作製した。FCP1トランスジェニックマウスのうち、FCP1蛋白の過剰発現が確認されたものは、顕著な心拡大が認められ、心エコー計測から心機能は著明に低下していた。また、不全心の指標であるANP mRNAの発現も著明に亢進していた。FCP1-DNマウスは現在離乳中であり、来年度に心機能は計測可能となる。これらの結果より、心不全の形成に、FCP1活性の重要性が示唆される。 FCP1遺伝子の機能解析のため、FCP1,FCP1-DNおよびFCP1ノックダウン用のアデノウイルスベクターを作製した。これらを用い、心筋細胞にFCP1を過剰発現させると、心筋細胞の胞体の縮小と細胞数の減少が認められ、一方、FCP1-DNの過剰発現およびFCP1ノックダウンにより、心筋細胞サイズの増加が認められた。これらのデータはFCP1活性の増加は心機能障害を引き起こし、反対にFCP1活性の低下は心筋障害抑制に働いていることを示唆する。
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