実験的自己免疫性心筋炎におけるTh17の役割を解析した。ラット心筋炎ではIL-17とIL-17Rの遺伝子はIFNγよりも早く、まだ炎症性細胞浸潤がごくわずかな時期に心臓内に既に発現していたIL-17mRNAを発現する細胞はαβT細胞である。IL-17Rを発現しているのはαβT細胞とマクロファージに加えて、線維芽細胞と血管内皮細胞などの心筋間質細胞分画であった。Th17を誘導するIL-23はマクロファージが発現しており、IL-23R(受容体)を発現している細胞はαβT細胞である。すなわち、心筋ミオシン反応性T細胞が抗原刺激を受けて活性化するとIL-17を分泌し、線維芽細胞に作用して線維を増生させ、血管内皮細胞に働いて血管透過性を高め、細胞浸潤と浮腫を生み出し、マクロファージに作用してIL-23の分泌を誘導するものと考えられる。IL-23はTh17に作用して活性化の増幅と維持に働くものと考えられる。 次に実験的自己免疫性心筋炎に対する胎膜由来間葉系幹細胞の心筋炎抑制作用を検討した。胎膜由来間葉系幹細胞を静脈内投与することにより、炎症性細胞浸潤を抑制し、MCP-1の発現が抑えられ、心機能が改善することが確認できた。また、ラット及びヒトの心筋炎におけるlipocahn-2/neutrophil gelatinase-B associated lipocahn(Lcn2/NGAL)の発現を調べ、心筋炎病変部の心筋細胞・血管壁細胞・線維芽細胞・好中球にこれが強発現することを見出した。
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